農地転用では、通常、境界確定そのものが許可要件となるわけではありません。そのため、多くの案件では境界確定を行わなくても手続きを進めることができます。
しかし、稀に農地転用の段階で境界が問題となるケースがあります。
代表的なのは、違反転用が行われている場合や、違反転用ではなくても現況が農地と宅地の境界を判別しにくい状態になっている場合です。
例えば、住宅や倉庫などの建物の一部が農地側にはみ出して建築されているケースでは、どこまでが農地で、どこからが宅地なのかを現地で明確に判断できないことがあります。このような場合、農業委員会の現地確認において、申請地の範囲を十分に説明できず、担当者や農業委員の理解を得られない可能性があります。
また、申請図面と現地の状況が一致しているか確認できない場合には、「本当にこの範囲が申請地なのか」という点が問題となり、追加資料や現地での確認を求められることもあります。
このようなケースでは、土地家屋調査士による境界杭の復元や、必要に応じて境界確定を行うことで、申請地の範囲を客観的に示すことができます。少なくとも境界杭が明確になっていれば、現地での説明もしやすくなり、農業委員会としても安心して審査を進めることができます。
もちろん、すべての農地転用で境界確定が必要になるわけではありません。しかし、現地を見ても農地の範囲が判然としないような案件では、境界を明確にしておくことが、手続きを円滑に進めるための重要なポイントになることがあります。

