土地の登記簿を確認すると、地目が「田」や「畑」になっているものの、実際に現地を確認してみると、長年耕作されておらず、農地とは思えないような状態になっていることがあります。

このような場合、「登記簿上の地目が田・畑だから、必ず農地転用の手続きをしなければならない」とは限りません。

現況やこれまでの土地利用の経緯などによっては、農業委員会から「非農地証明」を受け、その証明を利用して法務局で農地以外の地目へ変更できる可能性があります。

「地目」と「現況」は必ずしも一致しない

土地には、登記簿に記録されている「地目」があります。

例えば、登記簿上は「田」や「畑」となっていても、現地では長年耕作されておらず、草木が生い茂っていることがあります。反対に、登記簿の記載だけを見て土地の現況を判断することもできません。

そのため、農地に関する手続きを検討するときには、登記簿上の地目だけではなく、実際にその土地がどのような状態になっているのかを確認することが重要です。

そのうえで、現況がすでに農地ではないと考えられる場合に検討する方法の一つが「非農地証明」です。

草が生えていれば「非農地」になるわけではありません

ここで注意しなければならないのは、

「何年も耕作していない」
「背の高い草が一面に生えている」
「現在は畑として使用していない」

という事情だけで、当然に非農地として扱われるわけではないということです。

例えば、現地を見ると背の高い草が一面に生い茂り、とてもすぐに耕作できるようには見えない土地であったとしても、農業委員会によっては、それだけでは非農地とは判断せず、「木々が生い茂るなど、農地として利用することが困難な程度まで荒廃していること」を求める場合があります。

一方で、土地の状態だけではなく、いつ頃から農地として利用されていないのか、現在の状態になった経緯はどうだったのか、といった事情が確認されることもあります。

したがって、「これだけ荒れているのだから非農地証明が取れるだろう」と、土地所有者や申請者側だけで判断して手続きを進めることはおすすめできません。

まずは現地の状況を確認したうえで、その土地を管轄する農業委員会と認識をすり合わせることが大切です。

農地転用を考えていたら、すでに「非農地」だった場合

実務では、農地法第5条の許可申請を行う予定で土地を調査したところ、現地がすでに農地とはいえないような状態になっていることがあります。

この場合の取扱いも、一律ではありません。

例えば、現況を確認したうえで非農地証明の手続きを案内する農業委員会もあります。

一方で、土地の購入やその後の具体的な利用目的がすでに決まっているのであれば、「非農地証明ではなく、当初の予定どおり農地法第5条の手続きを行ってほしい」という取扱いをする農業委員会もあります。

つまり、

「現況が農地ではなさそうだから、農地転用ではなく非農地証明を取ればよい」

と単純に判断できるわけではありません。

同じように見える土地であっても、土地の状態、非農地となった経緯、今後の利用目的、そして管轄する農業委員会の運用などによって、必要となる手続きが変わる可能性があります。

非農地証明は自治体によって運用が異なります

非農地証明について特に注意したいのが、全国どこでも全く同じ基準・手続きで運用されている制度ではないという点です。

非農地証明は、農地法そのものに「非農地証明」という許可制度が規定されているものではなく、各農業委員会の運用による部分が大きい手続きです。

そのため、

「どの程度の状態なら非農地と判断するのか」

「どのような資料を提出する必要があるのか」

「現地確認をどのように行うのか」

「今後の土地利用が決まっている場合でも非農地証明で対応するのか」

などについて、農業委員会ごとに取扱いが異なることがあります。

別の市町村で非農地証明を取得できた事例があったとしても、別の市町村で同じように扱われるとは限りません。

そのため、インターネット上の一般的な情報だけで判断するのではなく、最終的には、その土地を管轄する農業委員会に確認する必要があります。

「田・畑だから農地転用」と決めつけず、まず土地の状態を確認する

土地活用を検討する際、登記簿上の地目が「田」や「畑」になっていると、最初から農地転用が必要だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、長期間利用されていない土地などでは、登記簿上の地目と現況が大きく異なっていることがあります。

その場合には、

「現在も農地として扱われる土地なのか」
「非農地証明を検討できる状態なのか」
「農地転用の手続きを行うべきなのか」

というところから確認する必要があります。

特に土地を購入して事業に利用する場合には、土地を購入してから「予定していた手続きができない」となることを避けるためにも、契約前の段階で農地法上の取扱いを確認しておくことが重要です。

登記簿上は同じ「田」「畑」であっても、必要になる手続きは土地によって異なります。

非農地証明を利用できるかどうかも含め、土地の現況と今後の利用目的を整理したうえで、管轄する農業委員会と事前に相談しながら手続きを検討することが大切です。