メガソーラーと呼ばれるような大規模な太陽光発電施設を設置するために農地転用を行う場合、重要な検討事項の一つとなるのが「雨水排水」です。そして、雨水排水について検討するために求められることがあるのが「雨水流量計算」です。
雨水流量計算とは、雨が降ったときに、その土地や周辺からどのくらいの雨水が流れ出すのかを算定するものです。計算にあたっては、雨の強さ(降雨強度)、土地の状態に応じた流出係数、雨水が集まる区域の広さ(集水面積)などが考慮されます。
算定した雨水の流出量は、その雨水を適切に処理できるのかを検討するために用いられます。
では、なぜ大規模な太陽光発電施設への農地転用では、このような雨水排水の検討が重要になるのでしょうか。
農地転用では周辺への影響も審査される
農地転用の許可では、農地を別の用途に利用することだけを審査するわけではありません。
転用することによって、周辺の農地や農業用の用排水施設などに支障を生じさせるおそれがないかという点も審査されます。
たとえば、転用後に大量の雨水が周辺の農地へ流れ込んだり、既存の水路で処理できない量の雨水が流れ込んだりするような計画であれば、周辺の営農や排水施設に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、農地転用後に雨水がどのように流れ、どのように処理されるのかという点も、転用計画を検討するうえで重要になります。
なぜ大規模な太陽光発電施設では雨水排水が問題になるのか
農地に太陽光発電施設を設置すると、その土地の利用状況が変わります。
太陽光パネルが設置されるほか、計画によっては造成や整地、土地の締固め、管理用道路や排水施設の設置などが行われることもあります。その結果、転用前と転用後とでは、雨水が地表を流れる状況や地中へ浸透する状況が変化する可能性があります。
そして、メガソーラーのように広大な土地を利用する計画では、その影響を受ける面積も大きくなります。
仮に0.1ヘクタール(1,000㎡)の土地と1ヘクタール(10,000㎡)の土地に同じ強さの雨が降ったとしても、対象となる面積が違えば、そこで処理しなければならない雨水の量も大きく異なります。
そのため、大規模な太陽光発電施設への農地転用では、「雨が降っても大丈夫だろう」という感覚的な判断ではなく、一定の条件を設定して、どの程度の雨水が流出すると考えられるのかを具体的に検討する必要が出てきます。
そのために行われるのが雨水流量計算です。
雨水流量計算をして何を確認するのか
雨水流量計算によって雨水の流出量を算定したら、次に、その雨水を計画地で適切に処理することができるのかを検討します。
たとえば、放流先として予定している水路に雨水を流すのであれば、その水路に必要な排水能力があるのかを確認する必要があります。
また、雨水を地中へ浸透させる計画であれば、その土地でどの程度の地下浸透を見込むことができるのかという検討も必要になります。
計算や検討の結果、そのままでは雨水を十分に処理できないと判断されれば、排水施設を整備したり、雨水を一時的に貯留して一度に大量の水が流れ出さないようにしたりするなど、計画に応じた対策を検討することになります。
つまり、雨水流量計算は、単に「雨水が何立方メートル流れる」という数字を出すことが目的ではありません。
農地を太陽光発電施設へ転用した後も雨水を適切に処理することができ、周辺の農地や農業用排水施設などに支障を生じさせない計画になっているかを検討するための資料となるものです。
大規模な農地転用では早い段階での検討が重要
大規模な太陽光発電施設を計画する場合、農地転用の申請書を作成する段階になって初めて雨水排水について考えるのでは、計画の見直しが必要になることもあります。
たとえば、放流先として考えていた水路の排水能力が不足していたり、想定していた方法では雨水を十分に処理できなかったりすれば、排水方法そのものを変更しなければならない場合があります。
特に広大な農地を利用する計画では、雨水排水の問題が事業計画全体に影響することも考えられます。
そのため、メガソーラーなどの大規模な太陽光発電施設を目的として農地転用を検討する場合には、農地の種別や農振農用地区域に該当するかといった農地法上の確認だけでなく、雨水をどのように処理するのかについても、早い段階から検討しておくことが重要です。

