農地転用の許可を受けるためには、農地の立地条件に関する基準(立地基準)を満たす必要があります。
農地は、その営農条件や周辺の市街地化の状況などによって、第1種農地、第2種農地、第3種農地などに区分され、それぞれ転用の許可基準が異なります。
例えば、第1種農地は原則として転用が認められない一方、第3種農地は原則として転用が認められます。
それでは、この農地区分を人為的に変更することはできるのでしょうか。
水道管を延長することで農地区分が変わる?
以前、ある行政書士の先生のホームページで、興味深い事例を見かけました。
その内容は、地中に埋設されている水道管を申請地付近まで延長することによって、農地区分が変わり、農地転用が可能になったというものでした。
最初にこの事例を見たとき、なぜ水道管を延長することで農地区分が変わるのだろうかと疑問に思いました。
そこで農地法の規定を調べたところ、一つの可能性として考えられる条文が見つかりました。
それが、農地法施行規則第43条第1号です。
同号では、第3種農地に該当する基準の一つとして、次のような条件が定められています。
- 水道管、下水道管、ガス管のうち、2種類以上が埋設されている道路の沿道にあること
- その道路が、原則として幅員4メートル以上など、法令に定める条件を満たしていること
- これらの施設の便益を容易に享受できること
- 申請地からおおむね500メートル以内に、教育施設、医療施設その他の公共施設・公益的施設が2以上存在すること
つまり、一定の条件を満たす道路に水道管などが埋設されていることが、第3種農地に該当するための判断要素の一つになっているのです。
先ほどの事例では、もともと下水道管などが埋設されていた道路に水道管を延長することで、この条件を満たした可能性が考えられます。
もっとも、実際にどのような事情によって農地区分が変わったのかは確認できていないため、あくまで一つの推測です。
農地区分は絶対に変わらないものではない
ここで重要なのは、農地区分というものが、必ずしも永久に固定されているわけではないということです。
農地区分は、農地そのものの条件だけでなく、周辺の道路や公共施設の整備状況、市街地化の進展なども考慮して判断されます。
そのため、周辺環境が変化すれば、以前とは異なる農地区分に該当する可能性があります。
例えば、道路や公共施設の整備が進んだ場合などには、農地区分の判断に影響することが考えられます。
ただし、今回取り上げた水道管の事例についても、単に水道管を延長すれば第3種農地になるわけではありません。
他の要件をすべて満たしている必要がありますし、農地区分の判断は法令や行政の運用に基づいて行われます。
また、農用地区域内農地など、別の規制についても確認する必要があります。
転用できないと言われても、可能性はないのか?
農地転用について農業委員会事務局に相談した際、農地区分などの立地基準を理由として、転用は難しいと説明されることがあります。
もちろん、農地転用には農地を保全するという重要な目的があり、法令上の制限を無視して転用することはできません。
しかし、現時点で転用が難しいからといって、将来にわたって絶対に転用できないとは限りません。
例えば、次のような点を検討する余地があります。
- 現在の農地区分の判断は適切か
- 他の農地区分に該当する可能性はないか
- 周辺の土地利用状況や公共施設の整備状況に変化はないか
- 原則として転用が認められない農地であっても、例外的な許可事由に該当しないか
こうした検討によって、当初は難しいと思われた土地活用について、新たな可能性が見つかることも考えられます。
農地転用において大切なのは、単に現在の農地区分を確認するだけではなく、なぜその農地区分に該当するのか、その判断の根拠まで確認することではないでしょうか。
農地転用が難しいと言われた場合でも、その理由を詳しく調査することで、別の選択肢が見えてくる可能性があります。
農地の活用を検討されている方は、農地転用を専門とする行政書士に相談されることをお勧めします。

