農地を宅地や事業用地、太陽光発電施設などに活用したいと考えたとき、その土地が「農振農用地(青地)」に指定されていると、そのままでは農地転用ができません。この場合に必要となるのが「農振除外」の手続きです。本記事では、農振除外の根拠となる法律、満たすべき要件、鳥取県での申請手続きの流れまで、行政書士の視点でわかりやすく解説します。

農振除外の根拠となる法律

農振除外の根拠となる法律は「農業振興地域の整備に関する法律」(以下、農振法)です。農振法第13条第1項では、社会的経済的情勢の変動などにより必要があると判断された場合、市町村が定める農業振興地域整備計画を変更し、農用地区域から対象農地を除外できる旨が定められています。

鳥取市など県内の自治体でも、この農振法に基づいて計画変更(農振除外・編入・軽微な変更)の申し出制度が運用されています。ただし、農振除外は誰でも自由に申請できるものではなく、法律で定められた要件をすべて満たす必要があります。また、農用地区域から除外されただけでは、すぐに他の用途に土地を利用できるわけではありません。農地法に基づく農地転用の許可を別途受ける必要がある点も、あわせて理解しておく必要があります。

農振除外の6つの要件(農振法第13条第2項)

鳥取市が案内している基準を参考にすると、農振除外が認められるためには次の6つの要件をすべて満たす必要があります。

1. 代替性

農用地以外の用途への変更が必要かつ適当であり、農用地区域外の土地では代替が困難であること。自己所有地に限らず、周辺の他人所有地についても代替地となりうるかを検討する必要があります。土地の購入価格が高いという理由だけで「代替地がない」とは認められません。

2. 地域計画との整合性

地域計画の達成に支障を及ぼさないこと。

3. 農用地の集団性

除外によって農用地が分断されないか、周辺農地の農作業や道路・水路の利用に支障を及ぼさないかが確認されます。

4. 担い手への影響

認定農業者など担い手への農用地利用集積に支障を及ぼさないこと。高性能機械が使える生産性の高い優良農地でないかも判断材料になります。

5. 土地改良施設への影響

農道や水路などの土地改良施設の機能に支障を及ぼさないこと。

6. 土地改良事業からの経過年数

土地改良事業の対象農地であった場合、事業完了年度の翌年から8年以上が経過していること。

これらはいずれも法律上の要件であり、代替地の候補や周辺農地への影響、農業用施設の利用状況など、個別の事情を丁寧に検討したうえで自治体が判断します。

鳥取県での農振除外申請の手続きの流れ

農振除外の手続きは、大まかに次のような流れで進みます。

  1. 1. 市町村の農政担当窓口への事前相談
  2. 2. 農用地区域からの除外の申し出
    (申出期限は自治体によって年4回程度など定められている場合が多い)
  3. 3. 市町村による除外要件の審査
  4. 4. 関係機関との協議
  5. 5. 計画変更案の作成
  6. 6. 公告・縦覧・意見書・異議申出の手続
  7. 7. 計画変更(除外)

手続きに必要な期間は自治体によって異なりますが、申し出の締め切りから計画変更まで概ね半年〜1年程度かかることが一般的です。農振除外ができたとしても、その後さらに農地転用の許可を受ける必要があるため、全体のスケジュールには余裕を持って計画することが大切です。申し出の受付タイミングを逃すと、次の受付まで数か月待つことになる場合もあるため、早めの相談が重要です。

農振除外の申請でよくある注意点

農振除外ができても、農地転用許可を別途受けなければ用途変更はできません。また、申し出の受付は年に数回程度に限られている自治体が多く、タイミングを逃すとスケジュールが数か月単位で遅れてしまいます。さらに、都市計画法など他の法令による制限が別途かかる場合もあり、要件を満たしているかどうかの判断には専門的な知識が必要で、書類の準備にも時間がかかります。

農振除外に関するご相談は専門家へ

農振除外には農振法・農地法といった複数の法律や、自治体ごとの運用の違いが関わってきます。自己判断で申請を進めてしまうと、時間と労力をかけた末に計画が進められなくなってしまうケースも見られます。

鳥取県・島根県で農地転用・農振除外に関するご相談に対応している行政書士三浦一朗事務所では、農振除外の要件確認から申請書類の作成まで、専門的な視点でサポートを行っています。農振除外を検討されている方は、早い段階での相談をおすすめします。

まとめ

農振除外は「農業振興地域の整備に関する法律(農振法)」第13条に基づく手続きであり、除外が認められるには法律で定められた6つの要件をすべて満たす必要があります。手続きには半年〜1年程度かかることが多く、農振除外ができたとしても、その後別途農地転用許可を受けなければ用途変更はできません。こうした複雑な手続きを確実に進めるためには、早めに行政書士などの専門家へ相談することが安心につながります。