太陽光発電による土地活用を検討する中で、「所有している農地に太陽光パネルを設置したい」と考える方は年々増えています。しかし、農地は農地法によって保護されているため、太陽光発電施設を設置するには「農地転用」の許可を受ける必要があります。

本記事では、鳥取県・島根県で農地転用を検討している方に向けて、太陽光発電設置における農地転用許可の基本的な流れ、地域ごとの注意点、費用感までをわかりやすく解説します。

農地転用とは何か

農地転用とは、田や畑などの農地を、農業以外の目的に用途変更することをいいます。太陽光発電施設の設置のほか、宅地・駐車場・資材置場への転用も、この農地転用に該当します。

農地法では、以下の2つの許可区分が設けられています。

  • 農地法第4条許可:農地の所有者自身が転用する場合
  • 農地法第5条許可:農地の所有者以外の者が、その農地を買ったり借りたりして転用する場合

無許可で工事を進めてしまうと農地法違反となり、原状回復命令や罰則(懲役・罰金)の対象となる可能性があるため、事前の許可取得は必須です。

太陽光発電設置における2つの転用方式

農地に太陽光発電を導入する場合、大きく2つの方式があります。

恒久的転用(全体転用)

農地全体を太陽光発電施設用地として利用する方式です。耕作を完全にやめるため、農地転用許可を受けたうえで地目変更登記を行う必要があります。日当たりの良い遊休農地の活用策として選ばれることが多い一方、優良農地(農用地区域内、第1種農地、甲種農地など)に該当する場合は原則として転用が認められない点に注意が必要です。

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)

農地に支柱を立て、その上部空間に太陽光パネルを設置しながら、下部の農地で営農を継続する方式です。この場合は、支柱部分についてのみ農地法第4条または第5条の一時転用許可が必要となります。営農型太陽光発電では、地域における平均的な単収と比較しておおむね2割以上減収しないことが求められるほか、毎年、営農状況や収穫量などを記載した報告書を提出する必要があります。

農業委員会が確認するポイント

太陽光発電施設の農地転用申請では、農業委員会は主に次のような点を確認します。

  • 事業者が事業を継続できる財産的基礎を有しているか
  • 発電施設の収支計画が現実的であるか
  • 施設が使われなくなった場合の撤去費用が確保されているか
  • 発電事業に必要な契約関係(電力会社との契約など)が整っているか

これらは、太陽光発電施設が稼働後に放置されるケースが各地で問題となった背景から重視されている項目です。申請時には、これらを裏付ける資料の添付が求められます。

鳥取県での農地転用の注意点

鳥取県内でも自治体ごとに運用に差があります。例えば南部町農業委員会では、太陽光発電設備の設置が周辺地域と調和のとれた事業となることを目的に、独自のガイドラインを制定しています。設置にあたっては、近隣の理解を得るための説明プロセスなどが求められる場合があります。

また、太陽光発電施設の設置が「開発行為」に該当するかどうかは自治体ごとに判断基準が異なります。例えば同じ鳥取県内でも、隣接する2か所に施設を設置する計画が「開発区域の一体性」と判断され、農地転用申請の前に開発許可申請への対応が必要になった事例もあります。開発行為に該当する場合、開発許可が下りなければ農地転用許可も得られないため、事前調査が重要です。

なお、市街化区域内の農地であれば、農業委員会への届出のみで転用できるケースもあります。

鳥取県で宅地への転用を検討している場合も同様に、事前の地目確認と農用地区域の該非確認が第一歩となります。

島根県での農地転用の注意点

島根県でも、農地転用の基本的な枠組みは農地法に基づいています。

地域計画が策定されている農地については、あらかじめ地域計画からの除外が必要になる点も、島根県内で農地転用を進める際の重要なチェックポイントです。

転用許可を受けて事業が完了した際には、農地転用工事完了報告書の提出も求められます。許可を受けずに転用した場合や、計画と異なる転用を行った場合には、工事中止命令や原状回復命令の対象となるほか、刑事罰の規定も設けられています。

転用後は法務局での地目変更登記も必要になるため、島根県で農地転用から土地活用までを一貫して進めたい場合は、行政書士など専門家に手続きを相談することで、書類作成や自治体との調整の負担を軽減できます。

農地転用にかかる費用の目安

農地転用の費用は、申請の種類(4条・5条)、転用面積、農振除外の有無、行政書士への依頼有無などによって変動します。行政書士に依頼する場合、書類作成・図面準備・農業委員会との事前相談などを含めた手数料が発生するのが一般的です。加えて、地目変更登記を司法書士や土地家屋調査士に依頼する場合は、別途費用が必要になります。太陽光発電のように事業計画書や資金計画の添付が求められるケースでは、通常の宅地転用よりも準備資料が多くなる傾向があるため、早い段階で専門家に相談し、必要書類と費用感を把握しておくことが望ましいでしょう。

まとめ

鳥取県・島根県で農地に太陽光発電を設置するには、農地法に基づく転用許可(4条・5条)に加え、自治体独自のガイドラインや開発許可など、複数の関係法令を横断的にクリアする必要があります。恒久的転用か営農型太陽光発電かによっても必要な手続きが異なり、財産的基礎や撤去費用の確認など、太陽光発電特有の審査ポイントも存在します。

農地転用は自治体ごとに運用や必要書類が異なり、事前調査を誤ると許可までに時間がかかったり、そもそも許可が下りない可能性もあります。太陽光発電や宅地への転用、土地活用を検討している場合は、鳥取・島根の農地転用に精通した専門家へ早めに相談することが、スムーズな許可取得への近道となります。