農地転用の相談を受ける中で、

「なぜ自分の土地なのに分筆しないといけないのですか?」

という質問を受けることがあります。

農地転用では、すべてのケースで分筆登記が必要になるわけではありません。しかし、転用する部分と農地として残す部分を明確にする必要がある場合には、分筆登記が求められます。

分筆登記には土地家屋調査士への報酬や測量費用が発生することが多く、申請者にとって大きな負担となる場合があります。

今回は、農地転用で分筆登記が必要になりやすいケースを3つ紹介します。

① 一般住宅を建築する場合

南部町では、一般住宅への転用について概ね500㎡を基準として運用されています。

一般的な住宅であれば500㎡程度あれば住宅、駐車場、庭などを十分確保できると考えられているためです。

その背景には、

「必要以上に農地を宅地へ転用させない」

という農地法の考え方があります。

例えば、1,500㎡の農地のうち住宅として必要なのが500㎡程度であり、残りの1,000㎡を引き続き農地として利用できる場合には、住宅部分と農地部分を分けるために分筆登記が必要となることがあります。

② 違反転用がある場合

許可を受けずに農地の上へ建物を建築してしまった場合など、いわゆる違反転用のケースでも分筆登記が必要となることがあります。

例えば、1,000㎡の農地の一部に住宅や倉庫が建築されていた場合、その建物の敷地として必要な部分のみを宅地として整理し、それ以外の部分は農地として残すことが求められることがあります。

この場合、建物敷地部分と農地部分を明確に区分するために分筆登記を行います。

違反転用だからといって農地全体を宅地にできるわけではなく、必要最小限の範囲のみを転用対象とするのが原則です。

③ 転用計画に対して農地が広すぎる場合

農地転用では、

「なぜその面積が必要なのか」

を説明できなければなりません。

例えば、資材置場や駐車場として利用する計画であるにもかかわらず、計画内容に対して農地の面積が著しく広い場合には、

「本当にその面積が必要ですか?」

と判断されることがあります。

そのような場合には、必要な部分だけを転用し、残りの部分は農地として利用するために分筆登記を求められることがあります。

分筆登記はいつ行うべきか?

なお、分筆登記が必要になる場合であっても、農地転用申請の時点で必ずしも分筆登記の完了まで求められるとは限りません。

実務上は、測量を行い、転用部分と残地の境界や面積を明確にした状態で申請を進めることが可能な場合があります。

なぜなら、農地転用の審査過程において、

  • 転用面積の変更
  • 配置計画の変更
  • 進入路の変更

などが生じることがあるためです。

もし申請前に分筆登記まで完了させてしまうと、転用計画の変更が必要になった場合に、再度測量や登記手続が必要となり、費用面・手続面の双方で大きな負担が生じる可能性があります。

そのため、農地転用申請の段階では、分筆予定線を確定し、いつでも分筆登記ができる状態まで準備を進めておき、許可後に最終的な分筆登記を行うという方法が採られることもあります。

もっとも、自治体や案件の内容によって運用が異なる場合もありますので、事前に農業委員会や専門家へ確認することをおすすめします。

農地転用では、転用そのものだけでなく、分筆のタイミングによっても費用や手間が大きく変わることがあります。後から余計な負担が発生しないよう、計画段階から十分に検討しておきたいところです。

まとめ

分筆登記は、転用部分と農地として残す部分を明確にするために行われます。

一方で、測量費用や登記費用が必要になるため、申請者にとっては大きな負担となることがあります。

そのため、農地転用を計画する際には、

  • 転用面積は適正か
  • 分筆が必要になりそうか
  • 残地の利用方法はどうするか

を事前に検討することが重要です。

農地の選定段階から検討することで、分筆登記を回避できる場合もありますので、農地転用を検討されている方は早めに専門家へ相談されることをおすすめします。