ここでは、一人親方が建設業許可申請する場合の要件に該当するかを挙げていきたいと思います。

まず、一人親方なので営業所は1か所と仮定して、知事許可とします。知事許可とは、1つの都道府県の区域内にのみ営業所を設ける場合の許可です。また、規模的に考えて一般建設業許可とします。一般建設業許可とは、建設工事を下請けに出さない場合や、下請けに出した場合でも1件の工事代金が4000万円(建築一式工事の場合は6000万円)未満の場合に必要な許可です。初めて申請するとして新規となります。

では、建設業許可を受けるための5つの要件を確認してみましょう。

  • 建設業務の管理責任者がいること

経営業務の管理責任者とは、個人の場合は事業主本人や支配人登記した支配人で、経営業務を総合的に管理し、執行した経験を持つ者をいいます。下記の3つのいずれかの条件に該当することが必要です。

①許可を受けようとする建設業に関して、5年以上経営業務の管理責任者(法人の役員、個人事業主、建設業法施行令第3条に規定する使用人)としての経験を有していること【建設業法第7条第1号イ】

※「建設業法施行令第3条に規定する使用人」とは、建設業法施行令第3条に規定する支店や支店に準ずる営業所の代表者のことで、例えば支店長、営業所長のことをいいます。個人の場合は、支配人登記をした支配人も含まれます。

②許可を受けようとする業種以外の建設業に関し、6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること【建設業法第7条第1号ロ】

③許可を受けようとする建設業に関し、6年以上経営業務を補佐した経験を有していること【建設業法第7条第1号ロ】

※ここでいう「補佐」とは、法人では役員に次ぐ人(建築部長など)で、個人では妻や子、共同経営者などが、経営者の業務を補佐することをいいます。

ポイントとしては、経営業務の管理責任者となるものは、専任技術者の要件を満たした場合、1人の者が両方を兼ねることができることです。

  • 専任技術者が営業所ごとにいること

今回は一般建設業許可ということで、下記の3点のいずれかに該当しなければなりません。

①許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、大学(高等専門学校・旧専門学校を含む)指定学科卒業後、許可を受けようとする業種について3年以上、高校(旧実業学校を含む)の場合、指定学科卒業後5年以上の実務経験を有する者【建設業法第7条第2号イ】

※指定学科について建設産業・不動産業:指定学科一覧 – 国土交通省 (mlit.go.jp)

建設業法施行規則第1条

②学歴・資格の有無を問わず、許可を受けようとする業種に係る建設工事について10年以上の実務経験を有する者【建設業法第7条第2号ロ】

③許可を受けようとする業種に関しhttps://www.mlit.go.jp/common/001372890.pdfの資格を有する者。その他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者【建設業法第7条第2号ハ】

※「実務経験」とは?

許可を受けようとする建設工事の技術上の経験をいいます。具体的には、建設工事の施工を指揮、監督した経験および実際に建設工事の施工に携わった経験のことです。また「実務経験」は請負人の立場における経験のみならず、建設工事の注文者側において設計に従事した経験あるいは現場監督技術者としての経験も含まれます。ただし、工事現場の単なる雑務や事務の仕事に関する経験は含まれません。

  • 請負契約に関して誠実性があること

請負契約に関して不正または不誠実な行為をする恐れがないことです。個人の場合は、その個人事業主または支配人が対象となります。

不正な行為・・・請負契約の締結または履行に際して詐欺、脅迫、横領などの法律に

        違反する行為

不誠実な行為・・・工事内容、工期などについて請負契約に違反する行為

建設業法、建築士法、宅地建物取引業法等で、「不正」または「不誠実な行為」を行ったことにより免許の取り消し処分を受け、あるいは営業の停止などの処分を受けて5年を経過しないものは誠実性のないものとして扱われます。

  • 請負契約を履行するに足る財産的基礎または金銭的信用を有していること

許可を受けようとする業種が一般の場合で新規ですので、下記の2点のいずれかに該当しなければなりません。【建設業法第7条第4号】

  • 純資産の額が500万円以上あること
    • 500万円以上の資金調達能力があること

資金調達能力については、担保とすべき不動産を有していることなどで、金融機関から資金の融資が受けられる能力があるか否かが判断されます(預金残高証明書、融資可能証明書、固定資産税納税証明書、不動産登記簿謄本などで証明します)。

  • 欠格要件に該当しないこと

許可を受けようとする者が一定の欠格要件に該当しないことです。なお、ここでの「許可を受けようとする者」とは、法人にあってはその法人の役員、個人にあってはその本人・支配人、その他支店長、・営業所長などをいいます。

以下の欠格要件に一つでも該当すると、建設業許可を受けることはできません。

・許可申請書または添付書類の中に重要な事項について虚偽の記載があるとき、または重要な事実の記載が欠けているとき

・許可を受けようとする者が成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ないものであるとき

・許可を受けようとする者が、不正の手段で許可を受けたことにより、その許可を取り消されて5年以内であるとき

・許可を受けようとする者が、許可の取り消しを免れるために廃業の届けを出してから5年以内であるとき

・許可を受けようとする者が、建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害をおよぼしたとき、または危害をおよぼすおそれが大であるとき

・許可を受けようとする者が、請負契約に関し不誠実な行為をしたことで営業の停止を命ぜられ、現在その停止期間中であるとき

・許可を受けようとする者が、禁固以上の刑に処せられその刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなってから5年以内であるとき

・許可を受けようとする者が、一定の法令に違反し、刑法などの一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、刑の執行を受けることがなくなってから5年以内であるとき

・役員等(取締役のほか、顧問、相談役等を含む)に暴力団や過去5年以内に暴力団員だったものが含まれている法人、暴力団員等である個人、暴力団員等に事業活動を支配されている者

※「一定の法令」とは

①建設業法

②建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法、景観法の規定で政令に定めるもの

③暴力団員による不同な行為の防止等に関する法律

④刑法第204条、第206条、第208条、第208条の3、第222条もしくは第247条の罪もしくは暴力行為等処罰に関する法律

いかがだったでしょうか。一人親方で、新規で建設業許可が取れる要件が揃っており、建設業許可を取りたいという方がいらっしゃれば、ぜひ当事務所までご連絡ください。

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