最近、「農地転用の許可が必要とは知らずに宅地にしてしまった」などのご相談を受けることがあります。

農地を住宅や駐車場、資材置場など農地以外の用途に利用する場合は、原則として農地法に基づく許可や届出が必要です。これを行わずに転用してしまうことを「違反転用(無断転用)」といいます。

では、無断で転用してしまった場合はどうなるのでしょうか。

南部町のホームページには、違反転用について次のように記載されています。

(引用)

違反転用に対する処分について

① 無断転用者またはその一般承継人(相続人等)

② 許可条件違反者

③ 違反者から工事等を請け負った者やその下請け人

④ 偽りその他不正な手段で許可を受けた者

これらの者に対し、農業委員会や県知事等は、

  • 許可の取消し
  • 許可条件の変更
  • 工事の停止命令
  • 原状回復命令その他必要な措置

などを命じることができます。

また、これらの命令に従わない場合には、行政代執行による強制執行や刑事罰の対象となることがあります。

刑事罰について

違反転用には厳しい処分・罰則が設けられており、工事の中止や農地へ戻す命令がされる場合があります。

命令に従わない場合は、

  • 個人:3年以下の懲役または300万円以下の罰金
  • 法人:1億円以下の罰金

が科される可能性があります。

(引用終わり)

実務上はケースごとに対応が異なります

法律上はこのように厳しい規定がありますが、実際にすべての違反転用が直ちに原状回復命令や刑事罰につながるわけではありません。

地域や事案の内容によって行政の対応は異なります。例えば、愛知県では原状回復を求められるケースが多いという話を聞いたことがあります。

一方で、私がこれまで鳥取県で接してきた事例では、まず事情を確認したうえで、許可要件を満たすものであれば、後から適正な手続きを行い、許可の取得を求められるケースが比較的多い印象です。

もちろん、悪質な事案や許可の見込みがない事案などでは対応が異なる可能性がありますので、一概には言えません。

無断転用に気付いたら、早めに相談を

「今さら相談したら怒られるのではないか」と考え、そのまま放置してしまう方もいらっしゃいます。

しかし、放置しても問題が解決することはほとんどありません。むしろ、不動産を売却するときや相続するとき、建築確認を受けるときなどに無断転用が判明し、その時点で対応に時間と費用がかかることがあります。

そのため、無断転用に気付いた場合は、できるだけ早く管轄の農業委員会事務局や農地転用を取り扱う行政書士に相談することをおすすめします。

分筆登記が必要になることもあります

違反転用の是正手続きでは、分筆登記が必要になる場合があります。

例えば、一筆の農地の一部だけが駐車場や宅地として利用され、残りは引き続き農地として利用できるようなケースでは、「農地として利用する部分」と「転用する部分」を明確に区分するため、分筆登記を求められることがあります。

実際にどのような対応になるかは、土地の利用状況や各自治体の運用によって異なりますので、個別の判断が必要です。

まとめ

無断転用は、農地法上の違反行為であり、原状回復命令や刑事罰の対象となる可能性があります。

一方で、実務上は個々の事情を踏まえて是正手続きが進められることも少なくありません。

大切なのは、「そのまま放置しないこと」です。

「昔から使っている土地だけど許可を取った記憶がない」「これって無断転用になるのでは?」と心配な方は、早めに相談することで、より円滑に解決できる可能性があります。