民事信託とは、財産管理・財産承継の一手法です。主に登場人物は3人、資産を持っている人を委託者、その資産を託されて信託契約に沿って管理・運用していくのが受託者、そして受託者が、管理・運用した資産から利益を受け取るのが受益者です。例えば、このような例に使えます。

父親は高齢で、1人で暮らしています。子供は一人いますが、県外に出ていて帰ってくる予定はありません。父親が施設にでも入るようになったら家が無人になってしまいます。そうなったら家を売って換価したいと考えていますが、判断能力が十分でなくなってしまった場合は、それもできません。家が父親名義になっているからです。しかし、今から家を子供に贈与するとなるとある程度の費用がかかってきます。

そんな時、民事信託を使えば、どうなるでしょうか。父親を委託者兼受益者に、子供を受託者とします。信託する資産を家とある程度の金銭としておけば、費用面も贈与するより抑えられ、家の名義も子供に移ります。父親が施設に入った段階で、子供が家を売却します。その売却した金銭で引き続き、父親の施設費用などを工面していきます。最終的に父親が亡くなったら、信託を終了させ、子供に残余財産が行くようにすればよいのです。

もっと細かいことはいろいろありますが、民事信託を使えば、柔軟な財産管理・財産承継が可能です。ぜひ一度、ご検討してみてください。

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