農地転用申請というと、「農地法の許可さえ取れれば終わり」と思われがちですが、実務では農地転用申請に付随して、別途の許可申請が必要になるケースが少なくありません。
今回は、過去に実際にあった例をもとに、見落とされやすい付随許可を2つご紹介します。


① 道路占用許可申請が必要になるケース

例えば、申請地に接続する道路があり、その道路と申請地の間に**側溝(U字溝など)**が設置されているケースです。

申請地に車両や重機が出入りするためには、この側溝の上を通過する必要があり、その結果、側溝にコンクリート蓋を設置するといった工事が必要になることがあります。

このとき注意すべきなのが、
その道路が誰の管理する道路なのか、という点です。

  • 町道なのか
  • 県道なのか
  • 国道なのか

道路の管理者によって、申請先も必要な書類も異なります。
そして、道路管理者に対して道路占用許可申請を行い、占用が認められる見込みがなければ、農地転用申請自体も前に進めることができません。


② 法定外公共物占用許可が必要になるケース

もう一つの例が、法定外公共物(いわゆる赤線・青線)に関係するケースです。

過去には、太陽光発電施設を設置する際に、電線を法定外公共物の上空や敷地内を通過させる必要があり、法定外公共物占用許可申請が必要となったことがありました。

法定外公共物は、道路や水路として使われていても、法律上の管理主体が分かりにくいことが多いですが、基本的にはその法定外公共物が所在する自治体(町や市)が管理者となります。

そのため、農地転用申請とは別に、自治体に対して法定外公共物占用許可を申請し、占用の可否について事前に確認しておく必要があります。


付随する許可は「気づきにくい」のが最大の落とし穴

これらの道路占用許可や法定外公共物占用許可は、申請者や事業者が最初から気づいていることは少ないのが実情です。

実際には、

  • 農業委員会事務局の担当者から指摘されて初めて気づく
  • 申請直前になって「この許可も必要です」と言われる

といったケースも珍しくありません。

ただし、重要なのは、
これらの付随する許可が問題なく取得できる見込みがなければ、農地転用申請も許可にはならない
という点です。


農地転用は「農地法だけ見ていては足りない」

農地転用は、農地法だけで完結する手続ではありません。
道路、法定外公共物、上下水道、河川など、他法令との関係を整理しながら進める必要がある総合的な手続です。

「あとから指摘されて手戻りが発生する」
「事業スケジュールが大幅に遅れる」

こうした事態を避けるためにも、農地転用に付随する許可の有無を早い段階で洗い出すことが非常に重要です。