農地転用は「申請書の書き方」で決まる? いいえ、本当に大事なのは●●なんです

農地転用の許可申請に初めて取り組む方や、あまり経験のない方の中には、
「書類の書き方次第で許可が下りるかどうかが決まるのでは?」
と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、書類の記載ミスや不備があると、補正が必要になったり、場合によっては再申請になってしまうこともあるので、書類作成は丁寧に行う必要があります。しかし、実は農地転用の許可が出るかどうかは、申請書を提出する前の時点で、8割方が決まっているといっても過言ではありません。

では、その「8割を占める」重要なポイントとは何か。
それはズバリ、


どんな農地なのか?が最大の判断ポイント!

農地転用の許可が下りるかどうかを左右する最大の要因は、**転用対象となる農地の「区分」や「立地条件」**です。

農地には様々な区分がありますが、一般的には

  • 第1種農地(農業振興地域の中核となる農地)
  • 第2種農地(一定程度、立地条件により転用可能性がある農地)
  • 第3種農地(比較的転用が認められやすい農地)

といった分類があります。

この中でも、第1種農地は原則として転用が非常に難しく、農業の保全を優先する地域に位置しています。一方、第3種農地であれば、都市計画区域内で市街化が進んでいる地域にあり、非農業的な利用が容認されやすい農地となっています。

したがって、「どの農地を転用しようとしているのか?」という点が、許可の可否に直結するのです。


まずは農業委員会で農地の種別を確認しましょう

申請の前にすべき大切なステップがあります。
それは、地元の農業委員会や市町村役場の農政課などに問い合わせて、対象の農地がどの種別に分類されているのかを確認することです。

特に第2種農地の場合は、「なぜ他の農地ではなく、この農地でなければならないのか?」という点を明確にする必要があります。
たとえば、次のような説明が求められます:

  • 他に代替できる農地が周囲に存在しないこと
  • 現在の用途が、当該地で行うのに適していること(地理的・経済的な合理性)

これらの説明をしっかりと準備しておくことで、農業委員会や県の判断を得やすくなります。


建物や用途によっては例外も

なお、農地の区分が第1種などの厳しい条件下であっても、設置する建物や工作物の性質によっては例外的に転用が認められるケースも存在します。たとえば、公共性の高い施設(学校や福祉施設など)や農業関連の施設であれば、特別な扱いがなされる場合があります。

そのため、農地の種別が厳しい場合でも、すぐにあきらめず、例外規定に該当しないかを確認することも大切です。


もし許可が難しい農地だったら…

調査の結果、該当農地が厳しい条件にあり、どうしても転用が難しいという場合には、他の候補地を探すという選択肢も視野に入れましょう。
特に、第3種農地のように条件の整った土地を見つけられれば、申請手続きもスムーズに進み、結果的に早く目的を実現できることもあります。


まとめ

農地転用は「書類作成」がすべてではありません。
むしろ、**「どんな農地を転用しようとしているのか」**という選定段階こそが、最も重要なポイントなのです。

これから農地転用を考えている方は、ぜひ「農地の性質を見極める」ことを第一歩にしてみてください。
そして、疑問があれば早めに専門家や農業委員会に相談し、計画的に進めていきましょう。