農地を転用する際に、隣接の土地が農地でない方がハードルが下がるのは確かですが、そうでない場合も多々あります。隣接の土地が農地であった場合、隣接農地耕作者の同意書が必要になることがあると思います。今回はこの同意書についてお話します。

まず、隣接農地の登記情報を手に入れる必要があります。基本的にはオンラインで取得した方が安価なのでそちらを選択することが多いと思います。登記情報には現在の登記名義人(所有者)の住所と氏名が記載されていますので、それを手掛かりに接触を試みます。私の場合は、この情報から電話番号検索をして電話番号がわかればまず電話にて連絡して直接会う日時を設定します。電話がわからない場合は、手紙を書くか、直接住所地に赴いてみることをします。

問題があるのは、相続登記がされていない場合です。この場合、現在生存している登記名義人の相続人を探す必要があります。行政書士は職務上請求書という書類によって、業務のため必要な範囲で戸籍を取得することが可能なため、登記情報からわかる範囲で戸籍を取得してみようと試みます。もちろん、登記情報からでは戸籍を取得することが不可能な場合もあります。その場合は、事情を農業委員会事務局に説明すると、大抵は納得していただけると思います。この場合、同意書を添付することができない代わりにその理由書を添付することもあります。

また、仮に相続人と接触することができても、同意書を書いていただけないこともあります。相続登記をしていない、ということは、相続人の間で話がまとまっていないということもあるからです。そういう場合は責任の所在が不明確なため、誰も同意したがらないこともあります。この場合も農業委員会事務局にその旨を説明して了承していただくことになります。

今までの説明で所有者とのやり取りを話しましたが、農地を所有者自身が耕作していない場合もあります。賃借権や使用貸借権などを設定して他の人が農地を耕作している場合は、その耕作者からも同意書を取得する必要があります。誰が現在耕作しているかについては、所有者に確認するか、農業委員会事務局に確認するかのどちらかになると思います。

同意書を書いていただく際には、どのようなものを設置するか、隣接農地に影響はないか、どのような対策を取っているかを説明します。同意書を書いていただく人には、無条件で同意していただける方もいれば、付帯条件と言って、「このような対策を取っていただけることを条件に、同意します。」という同意の仕方をされる方もいます。付帯条件は遵守する必要があります。設置する施設についての具体的な話が必要な場合は関係者を交えて話す必要も出てきます。

この隣接耕作者の同意書の取得は、隣接農地が多ければ多いほど大変な作業になります。隣接農地が相続登記をしていない場合などは一般の方にはそれ以上どうにもできない状況になります。また、こういった話は第三者的な立ち位置である行政書士の方が話がスムーズに進むことも多いと思います。お困りの場合はぜひ当事務所にご相談ください。