最近、農地に家屋がはみ出して建っているとう案件の相談をよく受けます。もちろん最近そんな現象が多くなっているわけではなくたまたまなのでしょうが、今日はそのような場合の対処法についてお伝えします。

この状態は、「農地の違法転用」の状態です。原状回復や場合によっては農地法の罰則を受けることもあるかもしれません。しかし、まずは農業委員会事務局に相談して、今後の方針を見極める必要があります。

相当期間にわたって農地に家屋がはみ出して建っている状態が続いている場合には、「非農地証明」という方法にて農地を宅地にすることが可能な場合があります。どれくらいの規模ではみ出しているのかによって、農地の一部のみはみ出している場合は、その部分を分筆登記してからということになります。

農業委員会(事務局)の判断によっては、許可を取得して後付けで承認していただく必要があるかもしれません。特に、その農地が農振農用地区域、いわゆる青地である場合は、非農地証明という方法は取ることができず、農振除外から農地転用という手順を踏まなければいけません。

農地法5条申請によって宅地に転用するとともに家屋を建てる場合には、このようなことは起こりにくいのではないかと思います。事業計画通りに転用が行われているかどうかを農業委員会が確認することが多いからです。そのため、このように家屋が農地にはみ出してしまったという状態は、元々宅地だった場所に家屋を建てた場合に起こることが多いと推察されます。

ちなみに、この状態で該当の家屋及びその底地である宅地の売買や贈与自体は可能です。できないのは、はみ出している農地の部分の取得です。これについては上記の対応を取る必要があるからです。また、このはみ出している部分の対応について未定の状態で家屋と底地である宅地を買ってしまうのはリスクが高いため、買うかどうかは農業委員会事務局とよく相談してからにするべきです。

そのような状態になってしまったことについては、もちろん違法な状態とはいえしかたないことです。気づいた時点で農業委員会事務局か専門家に相談してどのようにしていくのかを決めて対応する必要があります。当事務所でも相談を受けておりますので、お気軽にご相談ください。