第1種農地は基本的には転用を原則として許可しない農地となっています。しかし、これには例外があります。今回はその例外の中でも私が実務で遭遇した例外のパターンを2つお伝えします。

①流通業務施設、休憩所、給油所その他これらに類する施設で、次に掲げる区域内に設置されるもの

次に掲げる区域とは、下記の区域の事です。

a 一般国道又は都道府県道の沿道の区域

b 高速自動車国道その他の自動車のみの交通のように供する道路(高架の道路その他の道路であって自動車の沿道への出入りができない構造のものに限る。)の出入口の周囲おおむね300メートル以内の区域。

私が実務で経験したパターンは、立地的には上記の要件であるaを満たしていました。しかし、施設の内容が「流通業務施設、休憩所、給油所その他これらに類する施設」という要件を満たしていませんでした。流通業務施設とは、例えばトラックターミナルなど流通業務市街地の整備に関する法律第5条第1項第1号から第5号までに掲げる流通施設の事です。休憩所とは、自動車の運転者が休憩のために利用できる施設であって、駐車場及びトイレがあり、休憩のための座席等を内部の空間に有する施設の事です(宿泊施設は除く)。給油所とは、ガソリンスタンドの事ですね。その他これらに類する施設の例としては、コンビニエンスストアがあります。上記の「休憩所」の役割を果たしていますよね。私の実務で出会ったパターンは、施設概要がスクラップ場だったため、施設の要件を満たしませんでした。簡単に言えば、第1種農地でも上記a,bのような立地であれば、「流通業務施設、休憩所、給油所その他これらに類する施設」はその立地でなければという性格のものになるので、例外が認められていると言えるでしょう。

②既存の施設の拡張(拡張に係る部分の敷地の面積が既存の施設の敷地の面積の2分の1を超えないものに限る。)

私が実務で経験したパターンは、既存の施設の敷地面積が狭く、拡張して駐車場を設置したいというパターンでした。しかし、敷地に隣接している農地は第1種農地だったため、全てを転用することはできず、既存の施設の拡張として、既存の施設の敷地面積の2分の1までなら転用できるという状態でした。この施設は市街化調整区域にありましたが、建物などを建てない駐車場の場合は都市計画法の規制は受けません。2分の1ということで、どのような形で駐車場を設置するかによっては分筆登記が必要になる可能性もあります。

以上、私が経験した2つのパターンの第1種農地の不許可の例外のお話をしました。実は、第1種農地の不許可の例外のパターンはもっとたくさんあります。つまり、転用不可と思われていた第1種農地でも、転用できる場合が多々あるということです。そのため、だめもとでも専門家や農業委員会事務局へ一度相談してみることをお勧めします。