農振農用地区域内に農地がある場合に農地転用をするには、農振除外申請を行い農振農用地区域から当該農地を除外しないと農地転用ができません。しかし、どのような農地でも除外できるわけではなく、下記の要件をすべて満たす場合でなければ除外はできません。今日はその農振除外の要件について説明していきます。

①農用地以外に供することが必要かつ適当であって、農用地区域以外に代替すべき土地がないこと

当該農地以外に事業を行える土地がなく、その農地を農地以外の土地にすることが必要かつ適当である場合に除外できます。この場合、自己所有の土地以外に他人所有の土地でも農地以外の土地でその事業に供することができる土地が付近にないかを検討する必要があります。土地の価格の多寡によって安い土地だからと言って除外するというのは理由にならないようですが、代替地があまりにも事業計画からかけ離れて高価な土地になる場合は考慮される可能性もあると思います。また、農振除外後に転用可能な農地かどうか、農地区分や他法令の影響についても考慮し、農振除外はできたが転用ができない農地だった(例えば甲種農地や第1種農地などや開発許可が不可など)ということがある場合は農振除外できません。

②農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと

農振除外をすることによって農用地が分断されることがないことが必要です。例えば、周辺が全部農地なのにそのど真ん中にポツンと一般住宅を建てようと思ったら、せっかく集団的に立地している農地を分断する形になり、農地への悪影響が大きいと判断されます。一般住宅を建てるだけではなくそこにつながる道を作ったりすることを考えるとわかると思います。また、周辺農地への悪影響がないように必要な被害防除計画が立てられているかも考慮されます。

③土地改良施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと

農道やため池、排水路等の施設の毀損などにより、土砂の流出や洪水などが起こらないようにする必要があります。その可能性がある場合は、対策などによりそのようなことが起こらないことを示す必要があります。

④土地改良事業等の実施地区の場合は、事業完了公告後8年を計画している土地であること

土地改良事業とは、農地の基盤を整備し、農業生産の効率を高め、農村環境の保全を図る事業です。具体的には、水路や農道、畑や田の整備、農地の区画整理などが行われ、土地改良法に基づいて国や都道府県、土地改良区などが実施します。その事業の工事完了公告における工事完了の日の属する年度から8年以上経過している必要があります。土地改良事業が行われたかどうかは当該農地を管轄する土地改良区に問い合わせればわかると思います。

⑤担い手に対する農用地の利用集積に支障を及ぼすおそれがないこと

認定農業者等の農業の担い手の効率的な農業経営に支障を及ぼすおそれがないことが必要です。担い手が農業を行うについてその妨げになるような事業を行うこと、例えば②で引用した一般住宅の例などのようなことが起こらないようにしないといけません。また、高性能機械等が使える生産性の高い有料農地として担い手に集積すべき土地ではないことも必要です。例えば、付近に担い手の農地が固まってある場合、それと一体として扱うことによって優良農地として集積することが農業上良いと考えられる場合などです。高性能機械等が使える農地(出入り口や農道の形状などにより高性能機械が使える農地)であるかどうかもポイントとなるようです。

⑥地域計画への支障がないこと

地域計画とは、農地の担い手不足や耕作放棄地の拡大といった地域農業の課題に対し、地域の農業者が話し合って10年後の農地のあり方を示す計画です。この計画の妨げにならないようにする必要があります。地域計画の計画区域内の場合は、別途変更が必要になります。

農振除外をするためには、以上のような要件をクリアする必要があります。ご自身が転用しようとしている農地が農振農用地区域内かどうかは各自治体の担当課に問い合わせてください。もし該当した場合は、各自治体の担当課や専門家に相談しながら進めていくと良いと思います。当事務所でも相談を受けておりますので、お気軽にご相談ください。