農地転用はどのような場合に許可となるのでしょうか。それは一般的に「立地基準」と「一般基準」という判断基準により審査されます。

①立地基準

優良農地は可能な限り確保し、市街地に近接した農地や生産力の低い農地から順次転用されるように誘導するため、申請地の農地区分により、許可の適否の判断がなされます。(大山町ホームページより抜粋)

以前ご説明したとおり、農地はランク分けされています。甲種農地や第1種農地は原則不許可(ただし例外あり)、第2種農地は代替地がない場合のみ許可、第3種農地は原則許可となっています。第3種農地から順次転用されるのが望ましいということです。また、甲種農地や第1種農地を絶対に不許可とするのは支障が出る可能性もあるので、例外が認められている場合があります。

②一般基準

転用目的どおりの確実な利用や、転用事業の必要性や他の法令の許認可等の見込み、資金計画の妥当等を審査します。また、周辺農地に対しての営農への支障の有無についても審査します。(大山町ホームページより抜粋)

立地基準をクリアしたとしても、他法令の許認可がクリアできなければ農地法も許可となりません。都市計画法やその他の法律、条例などによって規制がかけられている場合はそれらをクリアすることができるということが農地法の許可条件となります。よって、農地転用を行う際にはその他の法律や条例の規制も調べる必要があります。また、資金計画などもチェックされますが、それは農地転用する事業を確実に実行できる資力があるかをチェックされており、それが担保されなければ許可とはなりません。周辺農地への営農の支障の有無については、被害防除計画書などでチェックされます。隣接農地へ土砂の流出はないか、雨水、汚水などの排水は適切かどうかなどです。隣接農地耕作者の同意書なども、この「周辺農地に対しての営農の支障の有無」から必要になる書類と考えられます。

以上が農地転用の許可基準となります。ただ、各自治体では、これ以外の観点から必要書類を求めている自治体があります。例えば、太陽光発電施設を設置する際には周辺の住人や設置する自治会からの了承を求めている自治体が多いと思います。これは、上記の農地転用の許可基準には必要ない事柄になります。ただ、実務上は住人や自治会からの了承を得られなければ後々トラブルとなる可能性が高く、運用上必要とされていることになります。これについては、お互いに話し合って、問題点をはっきりと明確にして、それを解消していく作業が必要になります。ただ感情的に嫌だから、という理由で事業がストップしてしまうというのでは事業者としても納得のいくものではありません。そこは農業委員会事務局としても了承されないから何でもかんでも許可しない、という態度では困ります。

基本的には上記の「立地基準」と「一般基準」を軸に判断していきますが、実務上必要な了承もその都度得ていく必要があります。事業者、地元、農業委員会事務局の間を調整する役目を私たち専門家が担います。農地転用のご相談はぜひ当事務所にお気軽にご相談ください。