被害防除計画書とは、農地転用申請において求められる重要な書類の一つです。

市町村によっては様式が存在しない場合もありますが、鳥取県内では、多くの市町村で農地転用申請の際に提出が求められます。私がこれまで農地転用申請を経験した鳥取県内の市町村では、すべてこの「被害防除計画書」の提出が必要だったと記憶しています。

簡単に言えば、この書類は

「農地転用を行ったことによって、周辺の土地、特に周囲の農地に悪影響が生じないか」

を確認するためのものです。

農地転用は、農地を宅地や事業用地など別の用途に変更する手続きですが、その際に周囲の農地へ被害が及ぶ可能性があります。例えば、

  • 盛土によって雨水の流れが変わり、隣の農地に水が流れ込む
  • 建物が建つことで日照が遮られる
  • 大型車両の出入りによって周辺農地の通作が妨げられる

このような事態が起きてしまうと、周辺の農業に大きな影響が出ることになります。

そのため、農地転用の審査では
「周辺農地に被害を与えない計画であるか」
という点が重要な確認事項になります。

この内容を具体的に説明するための書類が、「被害防除計画書」です。

ここでは、大山町の被害防除計画書を例に、その内容をご紹介します。

被害防除計画書の主な内容

1.申請地の造成計画の内容

まず、申請地の造成内容について確認されます。

具体的には、

  • 盛土を行うのか
  • 切土を行うのか
  • どの程度の高さの造成を行うのか

などです。

そして、それによって周辺に被害が生じないようにするための対策も説明する必要があります。例えば、

  • 法面処理を行う
  • 擁壁を設置する
  • 排水設備を設ける

といった内容です。

造成は周辺の地形や水の流れに影響を与えるため、農地転用の審査では非常に重要なポイントになります。

2.雨水排水計画

次に、雨水の排水方法について確認されます。

ここでは、

  • 雨水をどのように処理するのか(溜桝、調整池、自然流下など)
  • 最終的にどこへ排水するのか

といった内容を記載します。

例えば、

  • 側溝へ放流する
  • 河川へ放流する
  • 地下浸透とする

などの方法があります。

雨水処理が不適切だと、周辺農地への浸水や土砂流出などの問題が発生する可能性があるため、慎重な計画が求められます。

3.汚水排水計画

生活排水などの汚水の処理方法(合併浄化槽、単独浄化槽、くみ取り、など)や放流先についても確認されます。

例えば、

  • 下水道へ接続する
  • 合併浄化槽を設置する

などの方法です。

4.被害防除措置の内容及び被害発生の恐れがない理由

これまで記載した内容について、

  • どのような被害防除措置を取るのか
  • なぜ被害が発生しないといえるのか

を説明する項目です。

単に設備を設置するだけではなく、

「その計画で本当に被害が発生しないのか」

という点を論理的に説明する必要があります。

5.周辺農地への日照・通風・通作等への配慮

農地転用によって建築物や工作物を設置する場合、周辺農地の営農環境に影響を与える可能性があります。

そこで、

  • 建物の高さ
  • 隣地との距離
  • 周辺農地への通路の確保

などについて記載します。

例えば、建物が高すぎると隣接農地の日照に影響が出る可能性がありますし、通路を塞いでしまうと農作業の支障になる場合があります。

6.建築物等に関する被害防除措置

5で記載した建築物や工作物の配置・規模を前提として、

  • どのような被害防除措置を取るのか
  • なぜ被害が発生しないといえるのか

を具体的に説明します。

7.その他の被害防除措置

これまでの項目以外にも、周辺農地への影響を防ぐための対策がある場合は、この欄に記載します。

例えば、

  • 土砂流出防止対策
  • 農道の保護
  • 作業車両の通行配慮

などが考えられます。

被害防除計画書は農地転用の重要ポイント

農地転用の審査では、

「周辺農地の営農環境を守ること」

が非常に重要視されています。

そのため、この被害防除計画書において

  • 被害防除措置
  • 被害が発生しない理由

論理的に説明できなければ、転用事業を進めることはできません。

つまり、審査を行う農業委員会や県に対して、

「この計画であれば周辺農地に被害が生じない」

ということを、この書類で説明する必要があるのです。

農地転用は単なる書類手続きではなく、周辺地域との関係性や営農環境にも配慮した計画が求められる手続きといえます。