農地転用は「申請すれば通る」わけではありません
農地転用を検討されている方の中には、
「必要書類を出せば許可が出るのでは?」
と思われている方もいらっしゃいます。
しかし、実際の審査では、単に形式が整っているかどうかだけでなく、
事業の実行可能性や周辺農地への影響まで確認されます。
農地は食料生産の基盤であり、公共性の高い土地です。
そのため、農地を農地以外の用途に転用する場合には、慎重な審査が行われます。
① 事業者に「本当に実行できる力」があるか
農地転用の審査では、
「事業者自身が、その事業を遂行するだけの資力・能力を有しているか」
が確認されます。
たとえば、太陽光発電施設を設置する場合であれば、
- 銀行口座の残高証明書
- 融資契約書や融資予定証明書
- 資金計画書
- 見積書
などにより、資金の裏付けを確認されます。
なぜここまで見るのかというと、
「許可だけ取って実行しない」ことを防ぐためです。
もし資力が不十分なまま転用許可を出してしまうと、
工事が途中で止まり、農地が荒れ地になってしまう可能性があります。
また、過去に同様の事業実績があるかどうかを確認されることもあります。
特に太陽光発電のような大規模事業では、事業遂行能力が重視されます。
② 周辺農地への影響がないか
農地転用では、
「周辺農地に悪影響を及ぼさないか」
という点も非常に重要です。
たとえば、
- 雨水が一気に流れ込み、隣地を浸水させないか
- 盛土によって土砂が流出しないか
- 排水経路は適切に確保されているか
- 日照への影響はないか
などが確認されます。
このため、被害防除計画書を作成し、
- 雨水処理の方法
- 排水経路
- 擁壁や法面保護の有無
- 周辺農地との高低差
- 沈砂池や浸透施設の設置
などを具体的に記載します。
特に太陽光発電施設の場合は、広範囲にパネルを設置するため、
雨水処理の計画は重要な審査ポイントとなります。
③ 「事業計画」が甘いと許可は難しい
農地転用は、単なる「土地の用途変更」ではありません。
行政は、
- 本当にその事業が実施されるのか
- 実施後に問題が起きないか
を確認しています。
したがって、
✔ 資金計画が曖昧
✔ 工事内容が不明確
✔ 排水計画が説明できない
といった状態では、許可は容易ではありません。
④ 事前準備が成否を分けます
農地転用を成功させるためには、
- 事業計画の具体化
- 資金裏付けの準備
- 周辺農地への配慮
- 行政との事前相談
が重要になります。
申請書の形式を整えるだけでは不十分です。
実務では、「なぜこの計画で問題がないのか」を説明できることが重要です。
まとめ
農地転用は、
✔ 事業者の資力・能力
✔ 周辺農地への影響
✔ 実行可能性
といった多角的な観点から審査されます。
特に太陽光発電施設のような事業では、
資金面と被害防除計画が重要なポイントとなります。
農地転用をご検討の際は、単なる申請手続きとしてではなく、
「事業計画全体の整合性」を意識することが重要です。

